生涯学習・市民活動人材育成講座「SDGsで広げ、つながる、市民の学びと実践」

2022/02/19

 

地域で生涯学習の担い手となっている方や、市民活動を行っている方、これから行おうとしている方を対象にした「生涯学習・市民活動人材育成講座」。今回のテーマは「SDGs」です。SDGsの理解を深めてもらい、活動にSDGsの視点を取り入れ、持続可能な地域づくりの推進をめざすことが目的です。

前半は、「SDGsの歴史と本質」についての講演でした。1970年代に高まった「環境と開発の問題」に始まり、80年代には、「持続可能な開発(SD)」の概念が登場しました。SDは「環境・社会・経済」の調和のとれた発展を目指すことだけでなく、「世代間の公正(公平)」が重要であるとのことで、つまり今の世代のニーズを満たすことで将来の世代のニーズを満たすことができなくなるような不公平な開発があってはならないという考えです。1992年にブラジル・リオで行われた「地球サミット」での12才の少女「セヴァン・スズキ」が「(自然環境を壊すような開発を進めることに対し)どうやって直すかわからないものこわしつづけるのはもうやめて」と訴えたスピーチのビデオを観せていただき、SDGsのような考えを30年前の子供からすでに提言されていたことに驚きました。

21世紀になり、SDのための、経済、教育の推進、途上国対象の目標実現を進めていきますが、ついに2015年国連で採択され、全世界的にSDGsの取組みが始まりました。私達がよく目にするのは17色のアイコンで表される17の目標です。この目標の個別的な課題解決の側面を捉えがちですが、総合性、関連性、協働性といった包括的な課題解決の方法で行っていくことが重要で、17の目標は相互に関連しあっていて、問題は一つだけではないことを理解すること、多様な主体で連携すること等が活動のポイントだそうです。

後半の講演ではSDGsの達成の現場である地域の事例が紹介されました。講師が取り組まれた、「日本の祭りと生物多様性保全プロジェクト」は、一見関連がないような、祭りと生物という複合的視点で課題解決を目指すというユニークなものです。「祭り」を17ゴールの一つ一つと照らし合わせると関連が見えてきます。例えば祭りの神輿には地元の木材を使う(森林の保全)神事のお供え(農業・狩猟の課題)等です。地域課題解決の糸口を見つける参考になりそうです。

最後に、講師から参加者に、今行っている活動やこれから行いたいことなどがあれば発表してくださいと提案がありました。「学習支援の社会貢献活動を行っている」「コロナ禍でサークル活動が途切れそうになったが、オンラインに切り替え続けている」「農業資材はプラスチック素材が多く再生不能のゴミになるばかり。何とかしたい」など、多くの方から積極的に発言がありました。講座終了後に、参加者同士つながりを持たれる様子も見られ、SDGsに向けて新たな協働の芽が生まれたようでした。