今こそ知りたい即位の礼
2019/10/16
来る10月22日、新天皇の即位を内外に宣言する「即位礼正殿の儀(そくいれいせいでんのぎ)」が行われます。それに先立ち、即位の礼について学ぶ講座を開催しました。講師は愛知文教大学准教授の畠山大二郎先生です。畠山先生は、平安文学における装束表現、平安装束の形状と着方がご専門ですが、それに関連した、宮廷文化、皇室の諸行事や運営全般についても造詣が深くていらっしゃいます。
即位儀礼の基盤の3本柱①践祚(せんそ)②即位礼正殿の儀③大嘗祭(だいじょうさい)についての説明がありました。践祚はすでに5月1日に行われ、皇位を象徴する宝器を新天皇が受け継ぎ資格が確立することだそうです。宝器の中でも3種の神器の神剣、勾玉は箱に入っていて、皇族はもとより天皇でさえも見ることはなされていないそうです。現代においても、そういった神秘的な儀式が伝統として行われていることに、受講者の方々は驚かれたようでした。即位礼正殿の儀については、平成の時のビデオを見ながら解説していただきました。先生のご専門である装束については詳しく説明があり、天皇だけがお召しになる束帯の色「黄櫨(こうろ)」は退位するとき、即位するときで少し色が違っていたり、布に描かれている文様には言葉にならないものを伝える役割があったりすることを教えていただきました。即位礼正殿の儀は、当日テレビ中継もありますし、ますます楽しみになったとおっしゃった方もいました。
大正の即位の礼で催された晩餐会の引出物の挿頭(かざし:髪や冠につける銀細工のかざり)やボンボニエール(菓子器)、黄櫨色の布などの展示品を、皆さん写真に収めたり、先生に質問をしたりしていました。宮中の雅な雰囲気を身近に感じることができてよかったという感想が聞かれました。